鹿児島大学工学部先進工学科 電気電子工学プログラム

通信システム工学分野 永山研究室

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カーペットクローク/イリュージョン媒質

▶︎解説動画

 ・カーペットクロークの解説動画

 ・イリュージョンの解説動画

  *赤字をクリックすると動画を視聴できます


▶︎キーワード

 ・座標変換による波面操作

  (Wavefront Manipulations by Coordinate Transformations)

 ・不均質フルテンソル異方性メタマテリアル
  (Inhomogeneous Full-Tensor Anisotropic Metamaterials)

 ・物体のない平らな面からの反射波の模擬

  (Mimic of Reflected Waves from a Flat Surface without Objects)

 ・物体からの散乱波の模擬

  (Mimic of Scattered Waves from Objects)



▶︎カーペットクローク

 平らな床の上に置かれた物体の上からカーペットを敷くと, 物体のある場所だけカーペットが膨らみます. この膨らみの真上に座標変換を模擬したメタマテリアルを置き, メタマテリアル内部の複雑な屈折により, 膨らみに対して入射された光や電磁波の軌道を, 平らな床に敷いたカーペットに対して入射した時の軌道と全く同じになるように操作すれば, 膨らみがないように見せかけることができ, 膨らみごとその下に置いた物体を隠すことができます. これはカーペットクロークと呼ばれ, 反射型の透明マントのことを指します. 


 アイデアとしては2006年に透明マントの理論を発表したJ. B. Pendryらが2008年に発表しており(J. B. Pendry, Physical Review Letters, 2008年), 通常の"透過型”の透明マントに比べ, 材料パラメータの数値が実現できる範囲に収まりやすいため, カーペットクロークの方がよく研究されています(X. Zhang, Nature Materials, 2009年, D. R. Smith, Science, 2009年など). また, 空気中あるいは水中を伝わる音波に対して動作する音響カーペットクロークも比較的多く研究されています(B.-I. Popa, Physical Review Letters, 2011年, J. Yang, Science, 2017年など).


 本研究室では, 回路論的設計手法を用いて, 直流から上限となる周波数までのかなり広い周波数帯域で動作するカーペットクロークの実装に成功し, 実験的にも動作を確認しています. 音響カーペットクロークについても同じ理論で設計・解析を行っており, 試作・実証実験を検討しています.



▶︎イリュージョン媒質

 任意の物体に対して電磁波や光を入射すると, その物体の形状などによる固有の反射や散乱が起きますが, 物体と同一の反射や散乱を媒質により起こすことができれば, あたかも本物の物体がそこにあるかのように見せかけることができます. このような物体からの反射や散乱を模擬する媒質はイリュージョン媒質と呼ばれ(C.T. Chan, Physical Review Letters, 2009年など), 座標変換を模擬したメタマテリアルを用いて屈折により入射波の軌道を制御すれば, 実現することができます.


 本研究室では, カーペットクロークと同様に回路論的手法に基づき平面基板上に平面回路という形で,鏡面上に窪みがあるかのように見せかけることができるイリュージョン媒質の実装に成功し, 実験的にも動作を確認しています. また, 音波に対して動作する音響イリュージョン媒質についても試作を検討しています.