鹿児島大学工学部電気電子工学科電子制御研究室|研究テーマ


電子制御研究室

研究テーマの概要

本研究室の研究テーマについて,その概要を紹介します.


システムの可制御性に関する基礎的研究

システムの可制御性の概念は,R.E.Kalmanによって導入されて以来,これまでに
多くの研究がなされている.しかしながら,制御信号がいわゆる「飽和」や「符号」などの
非線形の制約を受ける場合の可制御性の研究については,工学的に重要な意義を
有しているにもかかわらず,十分に検討されているとは言えない.本研究では,
このような観点に立ち計算機制御を前提とした線形離散時間システムにおいて,
制御信号に制限がある場合のシステムの可制御性の検討を行う.


磁気浮上制御系の基礎的研究

近年,エレクトロニクス技術の進歩により,各種産業機器は多様で高度な機能を
持つようになり,磁気軸受けなどの非接触で高度の機能化が可能となった.次世代の
高速輸送システムとして期待されている磁気浮列車もその一例である.本研究では
磁気浮上系の基礎的研究として,吸引式磁気浮上系の安定化制御問題に注目し,
制御系の不確定性を積極的に勘案し,かつ最適な動作を常に保とうとする
ロバスト制御系の強力な設計理論であるH∞制御などの設計法を検討している.

画像による実験紹介


倒立振子の振り上げ制御に関する研究

現代制御理論の発展とともに簡単な機構を有するシステムに対しての適用が盛んに
行われている.その中でも制御理論の研究者にとって最も人気のあるテーマの一つ
として倒立振子の制御問題がある.これは不安定系の安定化制御問題として,興味の
ある研究課題である.本研究では始めに開ループ制御により鉛直下方の懸垂状態に
ある振子を鉛直倒立の平衡状態の近傍に振り上げ,次に閉ループ制御により振子を
直立の状態に保持する制御方策について検討している.

画像による実験紹介


M系列を用いたランダム・スイッチング

さまざまな電子機器に広く用いられているスイッチング電源には,半導体スイッチの
高周波スイッチング動作に伴う雑音(スイッチング雑音)の発生という問題がある.
本研究室では,スイッチング雑音の対策法として,ランダム・スイッチングと呼ばれ
る制御的雑音低減手法を提案している.ランダム・スイッチングの実現には,原理的
に不規則信号発生器が必要であり,本研究では,論理回路で簡単にしかも高速に発生
することができるM系列―0と1の疑似乱数系列―を利用し,その雑音低減特性を調
べている.


圧電トランスを用いた電力変換器

電子機器に対する小型,薄型化が強く要求されているが,電源部については,トラン
スなどの集積化が困難な磁性部品を含むため,小型,薄型化が進んでいない.そこ
で,電源部の薄型化をはかる場合には,電磁形トランスに代えて薄型の圧電トランス
(厚さ数 mm 程度)を用いることが検討されている.圧電トランスは,圧電効果を利
用して電力の伝送と変換を行う素子であり,効率的な電力伝送のためには原理的に機
械的な共振が必要である.本研究では,圧電トランスの動作原理を考慮し,出力に直
流成分を持たない回路構成による圧電トランスの駆動法について検討している.


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