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屈折率0媒質


▶︎屈折率0媒質の原理

 透明マントを実現するための方法は, 変換電磁気学の概念に基づく方法以外にもいくつか提案されています. その1つに屈折率nが実効的に0になる媒質を用いる方法があります. 屈折率nは透磁率μと誘電率εの積の平方根で表されるため, 透磁率と誘電率のどちらかを0または両方を0にすれば, 屈折率を0にすることができます. 

 波の波数
kは屈折率nと角周波数ωの積を光速cで割った式で表されますが, 角周波数がω>0かつ屈折率がn=0の時, これらを式に代入すると波数がk=0になることが分かります. 波数が0になるということは, 屈折率が0の媒質中を波が伝搬する時, 波の波長が無限大(=位相の変化が無い)になります. このため, この媒質で覆った物体に対して電磁波を入射すると反射波・散乱波が無くなり, 物体を見えなくすることができます.

 屈折率が0の媒質には波が伝搬する条件があり, 透磁率と誘電率の片方が0になる場合は波が入っていかず, 反射します. 両方0になる場合のみ動作します. また, 振幅分布が場所によらず一定になる性質から, 例えば形状が長方形の媒質の側面に対して垂直に波を入射する時は平面波にする必要があります.


屈折率0媒質の動作解析